Night Watch

【本日の一枚】

Ricky Peterson / Night Watch (1990)


〜A Conteporary Jazz and Adult R&B Music Experience〜

なかなか味のあるジャケット・アートワークはドイツ人アーティストStefan Hirschによる1929年の『Night Terminal』と題されたもの。一見淡白な印象を受けますが、何故か魅かれてしまうのは私だけでしょうか。いわゆるジャケ買いだったこのアルバムに私の好きなBen Sidranがプロデュースやソングライティングでも関わっているとは知ったのは家に帰ってクレジットを見たとき。さらには参加メンバーにもぶっ飛びました。

まずホーン・セクションがAORに置けるホーンセクションの形を決定付けたといっても過言ではないJerry Hey やLarry WilliamsなどのSeawind軍団(笑)。さらに前述したBen Sidranとともにプロデュースに関わっているのがあのTommy LiPuma! Dave GrusinとLarry Rosenが立ち上げたGRPレコードを引き継いだ彼であり、Michael Franksの『Art Of Tea』などなどのプロデューサーである彼です。そんな彼らが一斉に参加してのこれがデビュー作だというから驚きも二倍でした。

ミネアポリス出身の彼、70sからDavid Sanbornのキーボード奏者としても有名らしいのですが(ここいらも不勉強のため詳しくないです、ハイ)、ハモンドが得意だそうで、#1“One Never Knows”の中間Solo(2分30秒付近)では豪快なハモンドらしき音が堪能できます。またBill LaBountyの“Livin’ It Up”(TOTO絡みでも有名なセッション・ミュージシャンBrandon FieldsのAlto Saxがたまらない魅力を放っています)と“Look Who’s Lonely Now”といったAOR Songをカヴァーしているあたりは、周りからの助言なんかもあったのかもしれませんね。とても曲に合った声質をしておりますね。Bob MalachのTenor Saxがアーバンな魅力を振り撒き、Rickyがテクニカルなキーボードで応戦する#4“High Rise Drifter”もなかなか。他には、R&B的な要素が落ち着きを作り、それがとても印象的であり、曲間のGr. Soloのブルージーさに心震える#7“Put Your Faith In Me”も見事な佳曲。さらにラストナンバー#9“Take My Heart Away”(Future Street収録)は当然のことながらライター・クレジットにRichard Pageの名前を見つけることができます。しっとりとしたメロウなナンバーはアルバムを締めくくるのに最適ではないでしょうか。恥ずかしながらこれを聴くまでRicky Versionの存在を知りませんでした(恥)。本家に負けず劣らずの素晴らしい出来栄えだと思います。

どうやら現在廃盤のようですが、見かけたら即買いの一品として推薦いたしますよ。


◆GoJazz Allstars Live in Japan Featuring Bob Malach, Ricky Peterson, Billy Peterson, Ben Sidran, Gordy Knudtson ◆

◆HP: http://www.rickypeterson.com
MYSPACE: http://www.myspace.com/rickypetersonmn