Previously Unavailable

【本日の一枚】

Michael Franks / Previously Unavailable
(1989: Originally 1973)

Previously Unavailable

【DICOGRAPHY】

Rendezvous in Rio (2006)
Love Songs (2004)
Watching the Snow (2003)
The Michael Franks Anthology:
The Art Of Love (2003)
Barefoot on the Beach(1999)
The Best of Michael Franks:
A Backward Glance (1998)
Abandoned Garden (1995)
Dragonfly Summer (1993)
Blue Pacific (1990)
Camera Never Lies (1987)
Skin Dive (1985)
Passionfruit (1983)
Objects of Desire (1982)
One Bad Habit (1980)
Tiger in the Rain (1979)
Burchfield Nines (1978)
Sleeping Gypsy (1977)
Art of Tea (1975)
Michael Franks (1973)


実は、私にとってのMichael Franksというのはそんなに歴史があるわけではないんです。ちょっと齧りのボサノヴァ関連から入ったというのが正直なところなんですよ。彼の音楽はここ日本ではAORの範疇で語られることが多いんだけど、海外では圧倒的にコンテンポラリー・ジャズとして認知されているようですね。彼のアルバムって海外では「ジャズ・コーナー」にありますし。彼のジャズやボッサ・テイストが混在した独特の世界観というのは、既存のAORという私の概念を壊し、アーシーなサウンドに挑戦したりする意欲的な作風も魅力的に映って現在に至っております。
 
そんな彼の代表作というとほとんどの人は「スリーピング・ジプシー」を挙げるだろうし、実際の所、私の周りのこのジャンルには足を踏み入れていない諸氏にとっても「有名どころ」として「スリーピング・ジプシー」を挙げたりします。もしくは、俗に1stと言われている「アート・オブ・ティー」を挙げる人もチラホラと。私はというと全体像をまだ網羅していない(最新作すら未聴という有様)ので大きいことは言えないんだけど、「スリーピング・ジプシー」から入った口であるとだけ言っておきましょうか(笑)。

 さて、今日の一枚“Previously Unavailable”は1973年のBrutからの幻の1stのリイシュー盤です。「アート・オブ・ティー」で既に知的で洗練された大人の「Franks節」(そんなものがあればの話だが)を炸裂させていた彼のデビューのキッカケになったアルバムです。が、ここで聴かれる彼の音はそんなに洗練されたものではありません。1973年という年を考えると、例えばAlbert Hammondの“It Never Rains In Southern California”がリリースされた年であって、AORと呼ばれている音が既に形になっていた時代です。それとの比較だけでなく、現在のMichael Franksの音に繋がる要素というのはちょいと聴きでは見当たらないかもしれません。(#2“Just Like Key Largo”なんかは「オッ」と思わせる展開がありますし、その他にも実はMichaelならではの展開というのが見えるんですが。)思いっきり1973年してるんです、これが。ブルージーで(Dobro LadiesなんていうDobroをフィーチュアした曲もあります。)時としてフォーク寄りでさえあるようなイメージ、そう原アメリカ的なイメージを抱くかもしれません。例えるなら、The Bandなんかが思い起こされるかもしれないですね。(そう考えると1stにおけるニック・デカロのストリング・アレンジの影響度というのは計り知れないなあなんて思ったり。)現在との関わりを考えないのであれば#3“When Blackbirds Fly”#6“King Of Oklahoma”(題名からして・・)なんかはそれはそれで私のお気に入りに入るのかな。

 まあそれはさておき、このアルバムをきっかけにメジャー契約をし、名盤「アート・オブ・ティー」が生まれていき、現在につながっているのだから、このアルバムというのは「どんな方向にも行きえた」という意味でとても価値のあるアルバムなのでしょう。それだけの詰め込みはされてますし。彼の最初期を知る上でも貴重。・・・なんて偉そうな事言ってるけど、昔も今も「良い」音であるのは間違いないですね。(今「スリーピング・ジプシー」を聴いているんだけど、やはり「名盤」だね、これ。)そうそう、今日のこのアルバム、David Paichも参加してますよ。

◆HP: http://www.michaelfranks.com
MYSPACE: http://www.myspace.com/michaelfranks (FANPAGE)

【名盤特集】

スリーピング・ジプシーThe Art of Tea

左が「スリーピング・ジプシー」、んで右が「アート・オブ・ティー」です。