Just An Old Fashioned Love Song

【本日の一枚】

Paul Williams / Just An Old Fashioned Love Song (1971)

オールド・ファッションド・ラヴ・ソング (紙ジャケット仕様)

Rainbow Connection

かつてこんな話を西田ひかるさんがしていたのを読んだことがあります。

「やっぱりカレンの声の美しさ。すごく明るい声でメロディも明るいんだけど、どこかすごく切ないところがあったりして。同じ曲でもすごくハッピーな時に聞くとそういう風に聞こえるし、悩んでいる時に聞くと涙が出てくるような。すごく身近に感じるんですよね」(Music Magazine ‘94年9月号より)

音楽を聴く時、それにじっと耳をすませて本当にそれのみ一点集中で聴いている人ってどのくらいいらっしゃるんでしょう。私の場合は(多分みなさんもそうでしょうが)ライナーノーツを眺めながらだったり、眠りに入る前だったり、BGM的だったり、仕事しながらだったり・・・と多種多様です。

そんなとき、ふと手を止めてアーティストの声なりギターの音色なりに耳を奪われる瞬間が訪れることってないですか。カレン・カーペンターの声はまさにそんな声ではないでしょうか。グッと心に沁みてくるようなその声は、当時のアメリカの「光」を象徴したことからも分かるように、まさに「理想」を表すものだと思うんです。。。。

といったところで、本日紹介するPaul Williamsはそんな彼らにA&Mつながりで楽曲を提供していたことでも有名な方で、ここ数年、ソフト・ロックの教祖として特待されているRoger Nicholsとのコンビで特に有名です。

40年、Nebraska生まれ。地方劇団員からHollywoodの映画界に進出するかたわら音楽活動を開始するも、The Monkeesのオーディションに落選(同じ落選組にはStephen StillsやあのCharles Mansonもいたとか)、自身のグループであるThe Holy Mackerel(ホリー・マッケレル)を失敗させるなど紆余曲折を繰返しました。

Roger Nicholsと組んでからは一転してHitを連発。作品にはCarpentersの“We’ve Only Just Begun”(愛のプレリュード)、“Rainy Days and Mondays”(雨の日と月曜日は)“I Won't Last A Day Without You”(愛は夢の中に)を始め、Three Dog Nightの“Out In The Country”、Monkeesの“Someday Man”、Harpers Bizarreの“Drifter”などがあります。こうして改めて見てみると有名所ばかりですねえ。単独ではBarbra Streisandとの共作で全米1位を獲得した“Evergreen (Love Theme from A Star Is Born”(スター誕生、愛のテーマ)などがあります。

そんな彼のSolo 2ndにあたるのが本作品。

当時のA&Mサウンドの典型といいますと、まずはバーバンク・サウンドにもある種通じるようなノスタルジックでかつ華やかさを醸しだしているようなポップス、俗にSoft Rockなんて言う言い方が想像できる部分が多いと思うんですが、この作品は、SSW的なシンプルなバッキングで、どちらかというと地味目のしみじみとしたサウンドとなっています。この最低限度しかないようなサウンドにポールのぼそぼそとつぶやくような小さなヴォーカルがじつによくマッチしてるんですねえ。やっとここで本日の結論なんですが、私的には、彼の声にもどうやらカレンのような効果があるように感じるようなんです。さらにはピアノを基調としたバッキングにはある種他を寄せ付けないような壁というのか、パーソナルな空間を感じる時があります。グッと引き込まれる声とは対称的に何かを守っているようなまとめ方があるのもカーペンターズとのつながりを感じずにはいられません。

本作ではそのカーペンターズがヒットさせた#3“We’ve Only Just Begun(愛のプレリュード)”が最大の山場。カレンVersionと聴き比べるのもおもしろいかも。その他#6“An Old Fashioned Love Song”はThree Dog Nightが’71年にヒットを飛ばしている。#7“Let Me Be The One”のカーペンターズVersionもあるはず。などなど。

Paul Williams Connection : http://www.paulwilliamsconnection.org/
MYSPACE: http://www.myspace.com/paulwilliamssongwriter

〜Rainy Days and Mondays 〜




【到着】


○J.C. Cinel – Before My Eyes・・・2008年。AOR感とRootsy Melodic Rock、それに若干のカントリー・テイストを塗したようなイタリアのSSWの作品。よく言うと Bon Jovi にJohn KilzerとTom Kimmelを掛け合わせた感じ。(Roger)
○Jordi Castilla – Carta Magna・・・2008年。スペインのAOR / Melodic Rock。CodaやSangre Azul、 La Faseなんかのfanにはオススメ。Vocalはスペイン語です。(Roger)
○Innuendo – Ain’t Like It Used To Be ・・・1997年。ARIZONA州PHOENIX出身。QUEENのタイトルがバンド名、#4もQUEENのカヴァー。FIREHOUSE〜 EXTREME〜 QUEENタイプ。
Kings Of Convenience / Declaration Of Dependence・・・5年ぶりの新作。「打楽器やドラムを一切使わない史上最高のリズミカル・ポップ」に偽りなし。細部にまで拘った音作りにも驚嘆。これこそ「知的なボサ・ノヴァ」の称号を受ける価値あり。Thanks, Td君

などなど。