Velvet & Steel

【本日の一枚】

Dion / Velvet & Steel (1986)

Velvet & Steel

I Wonder Why

1939年NYはBronx生まれ。父親はBoston からPhiladelphia辺りまでのホテルや劇場を廻るプロの人形師だった。R & B, blues, Doo-Wop , Rock 'n' rollを軸に、幼少の頃より家の近くのBarや街角で音楽活動をしていたらしい。しかしその後Country界の大御所Hank Williamsとの出会いが彼の「歌」への気持をさらに助長していくことになったということ。父親がわずか12歳でPaul Whitman(20sのBandleader。50s頃までには若手発掘で有名になる人)に紹介し、TV番組に一緒に出演した。

 1957年に母親へのバレンタインのプレゼントとして吹き込んだ4曲のDemoが前述のTV番組のプロデューサーに渡り第一のキャリアのスタートとなる。その後、近所の腕のあるミュージシャンと共に通りの名前からとったDion & The Belmontsを結成。"I Wonder Why"などのDoo-Wopの名曲を送り出すことになる。Buddy Holly や Richie Valensの命を奪うことになるThe Winter Dance Party TourもCo-Headlinerとして一緒に廻っていた。(Dionも乗る予定だったとのこと)

 その後1960年にSoloに転向。(その後何回かThe Belmontsを再結成しているが)Columbia Recordsと最初に契約したRock’n Roll Singerとして"Ruby Baby," "Donna the Prima Donna" , "Drip Drop"などのSmash Hitを生んだ。
 1968年頃よりCCM Singerとしての活躍を始めたらしい。(ヘロインとの付き合いをやめたのもこの辺り)"Abraham, Martin and John"のHitが代表作として挙げられる。以後15年ほどはGospel系のアルバムを打ち出したり、Phil Spectorとのコンビで“Born to Be with You”をイギリスのみでリリースしたりした。85年にはグラミーにもノミネートされている。そんな彼に1987年夏New York CityのRadio City Music HallでHit曲を従えてのコンサートをやることを承諾させたのは繰り返しお願いした彼の友人達の声だったよう。

 このThe Radio City Showが彼の第3のキャリアの始まりと考えていいだろう。88年にはホームレスのための医療体制のための基金を呼びかけたり、Bruce Springsteen, Paul Simon ,Lou ReedといったDionのファンであるアーティストとの共演も実現した。89年Rock And Roll Hall of Fame入りを果たした。
 
さてこのアルバム、『Velvet & Steel』だが、86年リリースということ、Wordからのリリースということを考えるとちょうどRock’n Rollへの再回帰の時期と重なる。幾分硬質なギター・サウンドやエコーがかったドラムのサウンド処理、そしてこの時代特有のキーボードの音・・・と音的にも80sファンを狂喜させるものがある。

楽曲はほぼ並で多少フックに欠けるなあという気もしないでもないが、Amy Grantの『Heart In Motion』やFaith Hillの『Breathe』、Avalonの『The Creed』などに参加しているGordon KennedyやBob Carlisleの『Stories From The Heart』やDonna Summerの『Crayons』などに参加しているTom Hemby(いいGr.を弾きます!)、Micheal W. EnglishやAmy Grant, First Callのプロデュースで有名なWayne Kirkpatrickと共に、Steven Curtis Chapman, Michael English, Greg X. Volz, Kelly Willard, First Callの面々といったCCM界の有名人が多数参加しているのも魅力の一つ。CCMファンなら聴いておきたい一枚では?


【Discography】・・・70s〜80s初頭についてはおそらく不十分です。

1961 - Runaround Sue
1963 - Lovers Who Wander
1963 - Dion Sings To Sandy
1963 - Donna The Prima Donna
1963 - Ruby Baby
1968 - Dion
1972 - Suite For Late Summer
1972 - Dion & The Belmonts 1972
1975 - Born To Be With You
1975 -Romantic Rock 'N' Roll (Dion's Greatest Hits)
1976 -Streetheart
1979 -The Wanderer
1980 -20 Golden Greats
1981 -Take Off - 16 Big Hits
1982 -The History Of Rock - Volume Six
1986 - Velvet & Steel
1989 - Yo Frankie !
1992 - Dream On Fire
1993 - Rock N Roll Christmas
1996 - The Return Of The Wanderer/FireIn The Night
1997 - The Best Of The Gospel Years
2000 - King Of The NewYork Streets
2000 - Déja Nu
2001 - Live In NewYork
2001 - Born To Be With You/StreetHeart
2003 - New Masters
2004 - 70s: From Acoustic To The Wall Of Sound
2005 - Dion & Friends Live In NewYork
2006 - Bronx In Blue

Dion - Make The Woman Love Me

From the album 'Born To Be With You' 1975, produced by Phil Spector

【救出】


○V.A./AMEN:LAST SUNSHINE DESERTS OF EL RECORDS (‘92)・・・エルの活動停止前後にリリースされた最後のサンプラーアルバム。92年。以前持っていた物は人生の第一次整理の際に処分。今回250円で救出。(Amazonの値段・・ないよなあ)Momusの“Nicky”(名曲!)、Simon TurnerのD.Bowieカヴァー“Andy Warhol”、Flipper’s Guitarも収録。こういう特殊なレーベル、誰か立ち上げないかな・・。
○Smokey Mountain / Paraiso (‘92)・・・OPM。・・・『忘れられた子供たち』『神の子』と言うドキュメンタリー映画がある。スモーキー・マウンテンで生活する人たち(スカヴェンジャー)を追ったものだ。(最新作『BASURA』が完成したよう。見なければ・・)このアルバムの“Paraiso”を聴きながらその映画を思い出し、今も個人的に関連の深いあの国に想いを飛ばした。重く苦しいテーマだけでなく、十代の若者らしい愛のテーマや希望に溢れる歌も。カリプソ風の“Da Coconut Nut”の発音が懐かしさを助長する。250円で救出。今年の大テーマ、何としても成功させねば・・。(後々Blogに書ければ書きます。)
○Michael Wedgwood / Places Like These(’93)・・・Curved Air (1972-73)、Caravan (1974-76)などに在籍(その間Kiki DeeのツアーサポートやJohn Entwhistleのアルバム参加などもあり)や、最近ではGordon Haskell/との活動が聞かれたArtistのSolo。なんと彼、Charles Darwinの子孫らしい。このアルバムはアメリカ(アラスカ)に移住していた時代のマテリアルとその後録音したもので構成されている。後半でプログレおやじ本領発揮。数曲耳をひくドラマティックなメロディあり。現在はデンマークで活動中のよう。久々のプログレ系の人の作品に個人的に興奮。250円で救出。
○The Hawaiian Style Band / Vanishing Treasures (’93)・・・Contemporary Hawaiianの一種Javaiian (Hawaiian + Regae) の流れで知られるグループ。日本盤だが、中田さんが解説を書いている!リラックスしきった感じがオススメ。250円で救出。
○Wynonna Judd / S.T. (’92)・・・CURBより。(ということはCCMとしてもとらえられる。何曲かはそんな歌詞あり)Country Music Sceneでは有名なThe Juddsの人。Solo第一弾。#2“She Is His Only Need”(Pilot Single)はDave Logginsのペンによる美しいナンバー。#3“I Saw The Light”(有名曲とは同名異曲)にはAndrew Goldの名も見える。現在も現役で活躍中。ん?彼女のアルバム、何枚か持ってるぞ・・。