Venus In Overdrive

【本日の一枚】

Rick Springfield / Venus In Overdrive (2008)


Roars Back With ‘Overdrive'

1900万枚以上のアルバムセールスを上げ、17曲ものTop40hitを放つ曲をリリースしているオーストラリア出身の元General Hospital勤務(現在も勤務中+ミュージシャン?)(笑)のPOP/ROCK Singerの新譜(スタジオ盤で14枚目か?)。前述したG.H.がらみで彼を「良い」とするのがどうも・・という人が多いのは何も日本だけではないようで、海を渡ったアチラでもそのような声が聞こえます。が、良いものは良い!今回のアルバム、前2作で見せていた暗く重い雰囲気を吹き飛ばすかのような実に気合が入っていて、誠に気持が良い出来ではないでしょうか。まさに聴き飛ばしの出来ない完璧なpowerpop/AOR Soundが堪能できます。

全曲をBass PlayerのMatt Bisonetteとともに書き上げたという彼、これが誰か他の人と曲をコラボレートした初の経験だったとか。約1年程曲を書き溜め、それを何とたった32日間でレコーディングしてしまったというから驚きです。(前作は11ヶ月かかったそうな)

Single Cutされたキャッチーな#1“What’s Victoria’s Secret”はライブ向けの曲をということで、『Working Class Dog』制作時の気持〜ファンの気持をがっちりと掴むようなPower-Popを作る〜で書かれたということです。結果的にサウンド傾向やコード進行、曲展開に“Jessie’s Girl”的な所が多々見えるという訳で、意図的だったとは何ともはやという気がないわけでもないですが、多くのミュージシャン達が自分のカラーをどのように出し続けているかを考えれば至極納得する話でありました。#2.“I'll Miss That Someday” は今風のメロディアスなAlt-Rockという感じの曲だが、歌詞に注目!♪This love can turn out to be ◆Chivalry on broken wings 〜という部分ですが、何とあのRickが◆部分でS※※tとおっしゃってますよ(笑)。Rickの歌でこのようなものは初出ではないでしょうかね(笑)。タイトル・トラックであるレゲエ調の#3“Venus in Overdrive”は、彼の奥さんであるBarbaraさんへの感謝の念を歌っています。苦しい時に支えになってくれた(彼は“Rock”と表現)奥さん、過去にも“Don’t Talk to a Stranger”や“Souls”(奥さんのフェイヴァリット)など奥さんに纏わる曲はあるのだが、それだけいつも奥さんのことを考えているということなのでしょう。ホットですわな。#4“One Passenger”はどこかで(誰かのような)聴いたようなメロディがいつまでも頭に残ります。キャッチーで躍動感のあるPop Rockです。(CCM Fanなら何か思いつく人がいるかも・・)ブラスを導入した#8“God Blinked(Swing It Sister)”もゴキゲンな1曲。ライブが楽しそうです。#7“Time Stand Still”と#9“Mr.PC”は個人的にはそんなに魅かれる曲ではないですが、曲間のバランスを効果的に保つ繋ぎとしては最高の楽曲だと思います。Foo Fightersなんかのサウンドが好きな人にはもちろん最高でしょう。#10“She”はBeatlesの影響(レノン的な)が垣間見える良曲。これも意識的に書いたもののようですね。(#6の“3 Warning Shots”はレノンの死についての歌ですし、#11“Nothing Is Ever Lost”では再度Beatles的な要素がチラホラと。)アルバム中最もセンチメンタルな#12“Saint Sahara”と#5“Obivious”の2曲はSahara Aldridgeという彼の熱狂的ファンで、バンドとも近い間柄だった少女が亡くなったことから、彼女への追悼の意を含んだ歌とのこと。彼の人柄が窺える話です。Bonus Track“Who Killed Rock N’ Roll”も合わせて全13曲。あっという間の出来事でした。

あくまでも80sっぽさはそのままであり、その中に適度に現代のエッセンスを混ぜ合わせたRick。お子さんとRADIOHEADの音楽性について意気投合したと話しているあたり、まだまだ若い59歳。私も見習わなくちゃね。

◆HP: http://www.rickspringfield.com
MYSPACE: http://www.myspace.com/officialrickspringfield