SURRENDER ABSOLUTE

 ある一人のアーティストに興味を持ったとしよう。我々がそんな時にするのが「過去音源」の追跡である。「あっ、こんなバンドにいたんだ」とか「えっ!?彼等関係があったんだ・・(何も変な意味ではない)」「SOLO出したことあるんだ〜」などなど。これがメジャー・アーティストの場合は比較的簡単にその軌跡を探ることが可能なケースが多いのだが、マイナー・アーティストになるとこれが大変である。自主制作、それもLPのみとかゴロゴロである。ということであまり幅を広げすぎるのもどうかと・・。最近はオンラインでかなり広範囲に探索できることもあり、自然と辺境の地(失礼!)の音楽やこういったマイナー・アーティストの音源、はたまた埋れた才能を見つけ出すことがすごく楽になっているのは事実だが・・。
 話題を変えて・・。「廃盤」という驚愕の現実に叩きのめされた経験がある方は多いでしょう。コレクター歴の長い方ならなおさらですね。「廃盤」であるということは以前だったら中古で探すか、持っている方とのトレード先を探すなんてのが主流だったのですが、ここんところ(といったもここ5,6年でしょうか)の再発の流れは何とも好ましい限りである。いまだダウンロード音源には拒否反応のある私ですが、再発に関しては、近いところではDavid Roberts(オール・ドレスト・アップ(紙ジャケット仕様))、畑違い(私の中では一緒だが)ではTytan(ラフ・ジャスティス(DVD付))なんかが思い出され、狂喜乱舞した記憶がなつかしい。しかしRetrospect Recordsのような再発屋さん(?)が営業できてるってのも、あれなんですかねえ、以前と比較して、その盤に対する法的な状況が変わってきてるんですかね。それとも血の滲む様な営業活動の結果、「再発できる」状況が日々開発されているとか・・・。ウォークマンが外出時の主流だった我々の時代と比較するから混乱するんでしょうかね。CD-Rに好みの音を焼いて楽しんだり、i-podに音源を落として聴く楽しみ方って我々の時代の「お好みテープ」感覚ですよね。ただ、それが正規商品でも通用するようなスタイルにはならないで欲しいなあ。やっぱり私個人としては、Bookletがちゃんとあり、プラケース(これが大事!)に入っている厚みのあるプレス盤で持っていたいですもの。LP派の方には分かって頂ける心理と思ってるんですが。まあ、マイナー・アーティストの方の音源は別としてね。
 何を言いたいのか支離滅裂になりそうなのでここいらで(苦笑)。

【本日の一枚】DAVID ZAFFIRO / SURRENDER ABSOLUTE (1992)

 Christian HM Band のBloodgoodの初期Lead Gr.であり、4枚のSoloを出しているDavid ZaffiroのSolo 3枚目がこれ。Davidと言うと、同じChristian HR/HM BandのWHITECROSSやHOLY SOLDIERのプロデュースを担当したりしていることでも有名ですね。(WHITECROSSの'96の名盤Flytrapなど)
 このSolo3作目に関しては、賛否両論が聞こえてきます。AOR/CCMサイドからは「彼の最高傑作」、HR/HMサイドからは「最もPOPで聴くに耐えない」・・。もう音が見えますよね、これで(笑)。Joseph Williams在籍時のTotoっぽいフィーリングが随所に現れ、アクースティック楽器の使い方なんかにはWingerっぽさが滲み出ている「心地良いメロディの宝庫」です。GuitaristのSolo Albumということで当然インスト曲も収録されているのだが、これがまた絶品。Davidさん、おそらくかなりのテクをお持ちの方と推測するんだけど、決して弾き過ぎず、あくまで「聴かせ」に徹しているのがポイントです。どこか欧州の香りがするのも、そんな落ち着いた楽曲のなせる業なのかも。サトリアーニっぽい味付けが印象的な曲もあります。Davidさん自身、このアルバムをAORサイドをターゲットにしようと作ったと思うのですが、まさに心地良くスルーしやすい(誉め言葉と批判両方)アルバムです。

Bloodgood時のPhoto。こんな格好してたんですね。そしてこれが「格好よい」と受けたファン層もあったんですよね。