Caretaker Of Dreams

Caretaker of Dreams

 本日は、とある地方都市まで足を伸ばしてきました。目的は、大正時代の蔵や屋敷を見せていただきに行ったのですが、なんとも雄大でその存在感にまずは圧倒されました。玄関の戸が杉の一枚板で作られており、その重厚感とともに職人さんの技術の確かさに関心しきり。居間では何やら地元のコーラスグループらしきおばちゃん達と、指導者らしいおじちゃんがおり、きれいなハーモニーを響かせながらオリジナルの曲を練習しておったのも何とも趣のあるサプライズではありました。
 サプライズといえば、玄関の横にとても立派な池があったのですが、魚の姿は皆無・・・と思いきや、ずっと端の方に何やら魚影が・・・でも・・・動かない。。そう、死んでました(笑)。お魚さんはただその一匹であり、その姿が町の閑散としたメインストリートを思い起こさせたりもしました。
 ここ数年感じることが多いのですが、地方都市の寂れ方というのは尋常ではないですよね。まあ、その場所に住んでいる方の努力や感じ方を全く度外視した、実に客観的・自己中心的な見方かもしれませんが、今日行った都市もメインストリートのシャッターがほとんど閉まっているし、食べ物屋さんも早々と店を閉めたりしている姿を見て、最近別の市に出来た郊外型の巨大ショッピングモールのことがふと頭を過ぎりました。(何でも初日9万人を動員したとかしないとか・・。)
 地方都市の衰退は郊外型モールのみが原因ではないとは思うのですが、日本の場合、双方にどうしても中途半端なイメージを感じてしまうのは私だけでしょうか?何かバランス良く共存していく方法があればなあなんて思った次第です。

【本日の一枚】Randy Goodrum / Caretaker Of Dreams
         (1991年)
 AORという音楽ジャンルはもちろん幅のとても広いジャンルですし、そのとらえ方も千差万別、国によっても違うと思うのですが、(AORについてまだ何も分かっていない私が言うのもナンですが)、そのジャンルに所属(?)するアーティストの系譜には「日差し」と「夜」の二つがあるような気がする時があります。例えばTOTOというバンドを、「ROCKとAORという範疇でクロスオーヴァーをバランス良く行っているバンド」というとらえ方をするときってあると思うのですが、一つのジャンルの中で何か二つの系譜を上手にクロスオーヴァーしている人も中にはたくさんいるように思えます。(冷静に考えるとそういう人って多いかも・・・?)まあ、それはさておき、Randy Goodrumというアーティストをこの「日差し」と「夜」の範疇でとらえた時、まさにそのバランスの良さというか展開のうまさに悶絶しそうになる、そんなアーティストの一人のように思えました。
 HR/HMファンの方にはSTEVE PERRYの"Oh Sherrie""Foolish Heart"の曲提供でチェックされていた方かもしれません。私は最近までその事実を知らなかったのですが、"Oh Sherrie"に触発されて洋楽の世界に入った訳ですので、まさに私の音人生を決め付けた人物なのです。
 その他にもあのAIRPLAYやそしてTOTOの"I'll be over you"(!)も彼の仕掛け(笑)が光っております。そんな彼の91年発表の作品がCaretaker Of Dreamsです。
 ②⑤⑦がこのアルバム用の彼一人での書き下ろしらしいのですが、スムーズジャズのような、なだらかでかつ爽やかさを伴った①のイントロから何かしら「夜」を感じさせるキーボードが重なります。全体的にどこか明るくなりきれない、曲によってはまさに「夜」そのものといったイメージが私を包みます。分かりやすいところで、TOTOを思わせるような曲調があったとしても、そこにSAXやブラスを導入したりすることで、一筋縄ではいかない一種独特の雰囲気作りに成功しているのも魅力の一つではないでしょうか。私の中での極めつけは⑤"She Paints Pictures"。荒くれた海と暗い曇った空を連想させるようなイントロ(She paints pictures by the ocean〜という歌詞がそれを助長している)が2分くらい続き、それを受けるようなピアノのイントロがさらに続きますが、歌メロに入る一瞬手前だけ何か「光」が指したようなコード展開になります。もちろんメロディはハートフル&メロウ。そんな小さな部分なんですが、私には上記のようなことを考えさせたのでした。もちろん⑥の心地よい8ビートや⑦のようなバラード系は、絶品であることは言うまでもありませんが。全9曲あっという間です。

追伸:Gr.SOLOはSteve Lukather御大。

【到着】
◆Emerson Drive / Countrified
◆同DVD(Moments)