Fabulis Mirabilibus de Bombycosi Scriptis

天鳶絨症綺譚(びろうどしょうきたん)


 どうにも忙しい。最近はそればっかりが頭にあり、全てを遮断している。今朝は出勤途中、車で赤信号で止まったつもりが、信号50mほど手前の交差点で2度も止まっており、距離感がなくなったのか、俺はと一人つっこみをしていた。忙しさのせいや疲れのせいにはしたくないのだが、忙しいのか冷静に考える気にもならないのが現状である。しかしながらようやく現在に至り、先が見えてきた気がする。「昔は良かった・・」とノスタルジーに浸る気もさらさらないのだが、せめて夜ぐらいは仕事したくないなあ。
 ということで今回のテーマは「幻視」。私の場合のそれは「幻視」ではなく、「ぼんやり」なのだが。KENSOの「天鵞絨症奇譚」です。この疾患は白日夢、幻視体験を伴う顕著な性格偏向を示すのだそうだ。アルバムコンセプトは当初より、ひとりの人間の心にひそむ相反する要素、あるいはドッペルゲンガー的なものを音楽で表現しようということが中心にあったらしい。これまでもKENSOの作品は全て聴いてきたのだが、この作品ほど聴き込んだ作品は私的に現在のところない。理由は分からないのだが、とにかく好きなのだ。KENSOの音の特徴は、今更私がここに書き記すまでもないと思うので省略するが、全編に渡る緊張感、それはときとして平穏さや静けさの中にも張り詰めているのだが、何か心地よい、そして異国的なのだが、どこがなつかしいメロディがそれを包み、離さない。リズム隊のコンビネーションも完璧で文句のつけようがないことも付け加えておく。このアルバムタイトルの名の患者の共通した性向として、極めて耽美的嗜好を示し、更に鏡に類する光学反射性物質に対する偏好が観察されるのだそうだ。色のつけようのない、色彩の交じり合った音、それがKENSOの魅力であり、一筋の光を感じるような、そんな魅力も兼ねそろえている(藤田新策さんのジャケットも秀逸)のがこの「天鵞絨症奇譚」だと思います。

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・・・著者はピュリッツァー賞受賞。アドベンチャー・ミステリー物。はるか昔、まだ氷河が時折地球上を覆っていた時代、新しい人類が誕生した。彼らの化石骨は、1856年8月、ドイツのデュッセルドルフ・ネアンデルの渓谷ではじめて発見されたため、こう名づけられた―ネアンデルタール。彼らは、約3万年前までの間、ユーラシア大陸の西部で繁栄をつづけ、そして西端のイベリア半島周辺で絶滅したと考えられていたのだが・・・。(「BOOK」データベースより)

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・・・ずっと購入を検討していたのだが、古本屋で発見。このシリーズのプログレ版もそうなのだが、非常に良い。ツボをおさえた選び方である。

(参考)200CDプログレッシヴ・ロック