Fish Up A Tree

5年ほど前にこのBLOGで紹介し、その年の私的BESTにも入れたSSW/CCM SINGERのPATRICK RYAN CLARKがメジャーデビューするよう。よかったね〜。もう一つニュースがあったような・・・まあ、思い出したらということで。

【本日の一枚】

JENNIFER ROBIN / fish up a tree (1991)


maker of jazzy folky music

『fish up a tree』・・面白いタイトルである。同じ題名の曲は怪しげであり、空間面積を広げてくれるソプラノサックスの使用も○。歌詞を見てみても大変興味深い。リスナーの感受性一つで幾通りもの解釈が可能である。そう、このJENNIFER ROBINというアーティストは音を通じて我々の視野・可能性を広げてくれる、そんな気持にさせてくれるのだ。こんなアーティスト、もっと日本で応援出来ないもんですかね。
原盤は日本コロンビアが90年6月に発足させたポートアズール・レーベルが原盤。(COCY-7059)アメリカではA&Mが主導権を握ったらしい。10歳でピアノ曲“Children In An Orphanage”を作曲したのがスタートであり、15歳でJONI MITCHELLのパフォーマンスに衝撃を受け、ボーイフレンドが彼女のために盗んできたギターを始めて手に取る。種々のアーティストが彼女に影響を与えた人物ということで挙げられているが、上記のJONIの他、PentangleJT, Phoebe Snow (R.I.P.)なんかが挙げられているだけでなく、OregonWeather Reportなどを挙げているところが彼女の最大の特徴でもある。ジャズ・ヴォーカルだけでなくインストゥルメンタル・ミュージックにも傾倒していった彼女らしい選択である。全編が心地良いjazzyな pop/folkに覆われており、この手のアーバン・テイストなヴォーカルものが好きな人にはうってつけといえよう。ぜひ耳をメロディだけでなく、バックの音にも向けて欲しいが。
 その他にも“今までずっと”と題された楽曲(原題:Up To Now)も自分を解き放つことを歌った曲であり、どこかストレートに進行しないコードと相まって我々に自身について考えさせてくれる。彼女は言う。「まるで違った考え方をしてみたら?」と。案外悩んでいることがすんなりと解決されるような気がしてくるから不思議である。
 うって変わって“舟遊びの淑女たち”(原題:Ladies In A Boat)はフランスの印象派の絵画を思い浮かべてそのイメージを歌詞や音楽を通して再現しようとした作品だそう。歌詞を見ると非常に安易な受け取り方という気もしないでもないが、我々の日常だって大して変わり映えのないものがほとんどな訳であって、それを考えると深いなと・・。川の流れをイメージしたようなアルペジオの変化はまさにそんな変わり映えしない日常を如実に映し出している気がするし。
 オープニングの“月、ナーバスな月”からはCowboy Jankiesあたりが持っている浮遊感の中でJONI MITCHELLが歌っているような錯覚に陥る。歌詞を含め、とても幻想的。
 とまあ、たった10曲しかないのだが、なかなか考えさせられる。このアルバムに続くセカンド『Eye Of The Storm』も日本のPony Canyonからリリースされており、日本を中心としたアジア地区がマーケットとなったよう。2000年のサード以降は自身のレーベルRisky Robin Recordsから3枚のリリースをしている。

Official Website: http://www.jenniferrobin.com

※Up To Now