OK NOW

【本日の一枚】

Jon McLaughlin / OK NOW (2008)

OK Now

インディアナ出身のSSWの2枚目。SINGLEを聴いた時点で「何かが変わった」と思ったのですが、アルバムを全体を何度か繰り返し通して聴いてみてそれが自分の中で確信に変わりました。

1stアルバム『INDIANA』とこの2ndの間ではDisneyの『Enchanted』への参加なども経験していましたし、Sara Bareilles, Paolo Nutini and Kelly Clarksonとのツアーも経験しましたしね。その結果、このHeartlandpiano manは今回はLAのスタジオを使い、自らのパレットを広げるという意味合いもあってか、John Fields (Rooney, Jonas Brothers, Lifehouse, Switchfoot), Jason Reeves (Colbie Callait’s “Bubbly”) Tricky and The-Dream (Rihanna’s “Umbrella”), Troy Verges (Kenny Chesney’s “You Save Me”) Brett James (Carrie Underwood’s “Jesus, Take The Wheel”).のようなメンバーと作曲、プロデュースを共にしています。『Enchanted』に参加したことで今までにない、新たな自分の形を模索し始めたというところなのでしょう。また音的にも、今回Jonは積極的に有名セッションミュージシャンを取り入れていることも前回とは違う点と言えるでしょう。(GuitaristとしてTim Pierce、 David Ryan Harris、 drummerとして Dorian Crozier)

今回のアルバム構成をインタビューなどで話すに、自らを“child of the ‘80s”と呼んでいる彼。やはり私が指摘したように“Beating My Heart”を一番の例として挙げています。特徴的なシンセの音と弾けるようなこれまた特徴的な(80s的な)バックビートを背に、Coldplayあたりを彷彿させるような念入りに「作り上げられた」ようなプロダクションがまず気にかかります。自己反省しながらの「人生の意味」を模索しているような歌詞も80s的と言えば言えるのかもしれませんね。

“Four Years”はハイスクールでの新入生に対するアドバイス的な歌。流行に流されないように・・なんていうちょっとノスタルジーを感じさせるようなBilly Joel的なお得意ナンバー。ちょうと50sのロッカーが頻繁に取り入れた内容のようですね。長いツアーを経た彼の声には艶があり、聴き応えがあります。(プロダクション的に彼の声を全体的にもっともっと前面に出してもよかったかも)

“You Can Never Go Back”は70s末〜80s初期にかけてのBilly Joelのスタイルを念頭に書かれたもの。ただしそこに乗るメロディは紛れもない彼のもの。LAのSSWであるBlueと共に書かれた曲ですが、過去をくよくよ考えないで前に進みなという語りかけるような歌詞も印象的です。

“Things That You Say”では彼の「Croon」が曲にマッチしていますね。誰かといようとするときに感じる寂しさ、孤独感が結局最後には底の浅い、あくまでも経験の一コマでしかないというほろ苦さを含む歌。

“The Middle”はインディアナの人間を外に連れ出す(インディアナの)ことは出来るが、インディアナそのものを彼らの心から連れ出すことはできないという歌。まさに彼自身の現在の心境を適切に表している歌と言えるでしょう。この曲がこの位置にあることで、アルバム全体の幅の広さがぐんとアピールされ、またそれによって軸がぶれていないことも同時にアピールされている気がします。“Let me tell you now where I went wrong/Hollywood is just another place/I don’t belong.”なんていう歌詞がそれを如実に表しています。

シンセに導かれる“You Are The One I Love”はブリッジの作りが80s好きには堪らないでしょう。Soul, Jazz, R&B Singer/SongwriterのAmy Winehouseとその夫との関係についてのタブロイド紙を見たことからインスパイアされた歌詞とのこと。

“Always on My Mind”は単純な歌詞の繰り返しなのですが、実にインパクトのあるキャッチーな仕上がりの歌になっています。次の“Dance Your Life Away”もそうですが、ライブ映えしそうな曲ですね。

“Why I’m Talking To You”も彼の新しい魅力を感じさせてくれる楽曲。ブルージーな曲調も悪くはありません。

“Throw My Love Around”はしっとりと落ち着いたアクースティック・ベースの曲。ブリッジ〜サビにかけての「静かなる」高揚感は独特のものがありますね。

“We All Need Saving”は友情の重要性を歌ったもの。荘厳な響きがGospelを想起させてくれます。

自分のルーツに忠実に音楽性の幅が広げたことにより、より魅力が増したと言える彼のセカンド。Ben folds化がますます進んだとか、人によっては「普通以外の何者でもない」というようなコメントも聞かれますが、私的には全然「OK」でしたよ。

◆HP: http://www.jonmcl.com
MYSPACE: http://www.myspace.com/jonmclaughlin