Wednesday Morning, 3 AM

水曜の朝、午前三時

蓮見圭一の「水曜日の朝、午前三時」を読む。先日「ラジオエチオピア」を読み、良くも悪くも惹かれた作家のデビュー作である。「ラジオエチオピア」という題名のつけ方や作中の登場する音楽的要素からこの「水曜日〜」もSimon and Garfunkel のFirstからつけられているようだ。デビュー作とFirstという単純なつながりだけからつけたのか、作中には何もこの曲に対する話はでてこないが、あとがきにて池上冬樹氏が興味深いことを述べていた。ここではあえて全文を紹介したりはしないが、一見したところ歌詞の内容とは一致しない物語の内容も、「きまぐれな運命」「内心の訴え」「人生の選択」「生きる決意」といったものが重なり合う、いや逆にSimon & Garfunkelの歌によって本書が輝いてくると言うようなことを書いている。題名の午前三時という言葉や読み進めるうちにフィッツジェラルドのことを考えていたのだが、まさかあとがきで同じような考えに出会うとは・・。Wednesday Morning, 3 AMの歌詞はフィッツジェラルドの影響が大だと思うのだが(彼とゼルダの生活を彼自身は小説の一部のようだと話していた)、タイトル中の午前三時も池上氏が指摘している通り「壊れる」という彼のエッセイの一節に登場する。彼は「午前三時」を「魂の時間」とし、いかなる幸せな人物も孤独を感じぜざるを得ない時間帯であると考えている。小説の中の主人公はジャニスを聴きタバコを吸い、夜更けまで手紙を書き、そしてそれは出さないという生活をしていた。フィッツジェラルドは華やかな、そして退廃的な過ごし方をしていた。午前三時・・・最近は年齢のせいかもっぱら睡眠に属している時間である。今日は少し背伸びして(あるいは無理をして)午前三時に自分なりの午前三時の過ごし方を考えてみたい。

― SO WE BEAT ON BOATS AGAINST THE CURRENT,
    BORNE BACK CEASELESSLY INTO THE PAST ―
フィッツジェラルドと言えば私的にはこれ。

「グレート・ギャッツビー」の最後の一節。私の大好きな文章です。形はどうであれ(この時点でフィッツジェラルド的ではないですが)元気に明日に向える時間にしたいものです。(多分寝ているでしょう)(笑)

【到着】
Vowwow / Mountain Top MOUNTAIN TOP